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ストレスについて

何かとストレスの多いアメリカ生活、ひとりで悩みごとを抱えてませんか?心も身体と同じように疲れて、具合が悪くなることがあります。実際にそうなった時にどうしたらいいのでしょうか? 信頼できる友人や家族に相談するのもよいでしょう。また、もっと気軽に知識や技術をもつ心理セラピストに相談できれば、どれほど力強く、また安心できることでしょうか。American Psychological Association (APA; 米国心理学協会)よりストレスの特徴とその対処法が提案されています。ご参考にしてください。http://www.apa.org/helpcenter/stress.aspx

心身の健康:ストレス

ストレスは誰しもいつでも感じ得るものです。交通渋滞に巻き込まれるなどの状況的ストレス、または、人間関係のもつれ、家族の病気、配偶者の死など、継続的かつ複雑な問題がもたらすストレスもあります。逆にストレスのなかには、特定の課題を達成するときなどに、やる気を引き出す効果もあります。

危険性のあるストレス

強いストレスを感じ日常生活を送ることが困難になることがあります。こういった状況が長く続く場合に感じるストレスは危険性の高いものと考えられます。原因が比較的軽微であっても、 “制御不能”と感じ、どう対処すべきか見当がつかないものもあります。その結果、継続的な疲労、集中力低下、リラックスできない、などの症状が現れます。長期的に感じるストレスは過去の心的外傷体験(トラウマ)が関係している場合も多く、自覚せぬうちに自殺願望を高める可能性もあるので特に 注意を要します。

自然な反応

ストレス反応は人間の体に備わった自然な機能で、時に身体反応として現れます。例えば会社の重要な会議で発表することを考えると手に汗をかいたり、怖い映画を観ると心臓がどきどきしたりすることなどがその例です。これらの反応は、我々の祖先達が 大昔の危険と隣り合わせだった環境に対処するためにホルモンが分泌されることによって引き起こされるものと科学的に考えられています。

ストレスの原因が一時的な場合は、通常、身体的なストレス反応は通常短期間で終わります。ある研究では、睡眠時間や食事の質に関係なく、大学生達が感じる試験のプレッシャーとニキビの増加とその重症化が関係あると報告されています。逆に試験が終わるとニキビが減少したとも報告されています。腹痛や便秘も状況的ストレスに関係しているとされています。

困難な状況が過ぎ去り、あなたの心はもはやストレスを感じなくなっていても、身体的にはストレスを感じ続けて、身体反応が継続的に現れる場合があります。これは、より深刻な健康問題につながることがあります。

身体的摩滅

Stress ‘Ages’ A Person ということわざにもあるようにストレスと加齢の関連性が最近研究されています。重病を患った家族や障害をもつ子供の世話を長年続けてきた女性達を対象にした研究によると、彼女達の体は、もはや完全に血液細胞を再生することが出来ておらず、実年齢よりも身体的に10歳年をとってしまっていることが証明されています。

身体的摩滅は免疫システムを変化させ、身体機能の低下、心血管疾患、骨粗しょう症、炎症性関節炎、2型糖尿病、ある種の癌のような “高齢化”に関連があるともされています。

研究はまた、ストレスは特定の毒素や潜在的に有害な分子をブロックする脳の能力を損なうことも示唆しています。こういった状況はまた、アルツハイマー病を患っている患者に共通したものです。

病気との関連性

これまでの研究によると、それまで健康であっても突然の心理的ストレスとそれによってもたらされる重篤な心機能不全が関連付けられています。ただし、慢性的なストレスのみで心血管疾患になるかはまだ解明されていません。はっきりと言えることは、過剰なストレスは、高血圧や高脂血症など既存の危険要因を悪化させ、また怒りっぽく、頻繁に敵意を示す(ストレス時の挙動)人々には心臓病のリスクの増加が伴うということです。

ストレスに伴う絶望的な感情は慢性的鬱病へと悪化することがあります。慢性的鬱病は健康的な食生活や活動習慣をおろそかさせる可能性があります。これは、結果的には心臓病、肥満、腎機能障害のリスクが高めることになるでしょう。

ストレスはまた、深刻な病気からの回復機能を低下させます。スウェーデンの研究によると、心臓発作に苦しんでいる患者のうち、配偶者の不倫、アルコール乱用や肉体的または精神的暴力などの夫婦間の過度なストレスなどを経験している場合は予後が思わしくない傾向にあることが報告されています。逆に、ストレスマネジメントトレーニングを受けることが心臓発作からの回復を手助けすることが出来ることも実証済みです。

いまからでも出来ることは沢山あります!

自身でどんなストレスにも困難にも対処できると確信されている場合でも、将来の未知なるストレスに対処しうる効果的な対処法を今から積極的に学ばれることを お勧めします。

最も一般的な長期的ストレス(例えば家族の病気、怪我からの回復の多くは、仕事に関するストレス)は、しばし何の前触れも無く、そして複数重なって発生する ことがあります。家族病歴に高血圧や心臓疾患がある場合、ストレスマネージメントは特に重要でしょう。

原因を探る: 意外にもストレスは些細な理由から発生するものかもしれません。心理セラピストとともにこれらのストレス要因を見つけだし、分析し、それらに対処するためのアクションプラン策定をしませんか?

気分の起伏を書き留める: ストレスを感じた場合、そのストレスに至った要因や、その時の自分の気持ちや考え方を簡単に書き留めておくことをお勧めします。繰り返しになりますが、原因はあなたが最初に考えていたほど深刻なことではなく、ほんの些細なものかもしれません。

ゆったりした時間を少なくとも週に2~3回時間をもつ:  ゆったりした時間を最低でも毎日10分もつことで気分をリフレッシュでき、ストレス身体反応を緩めることができます。携帯電話の電源を切り、部屋で一人だけでゆっくりと時間を過ごしたり、瞑想したり、お気に入りの音楽を聴いたりと自分にとって最も過ごしやすい方法で心と体を休めて下さい。

10まで数える: 怒りの感情に即反応するのではなく10まで数えることによって、精神的落ち着きを取り戻してください。そして再度、状況を確認してみましょう。またウォーキングや軽い運動は心を落ち着けるのに役立ちます。

スケジュール分析: 物事の優先順位を決め、順位の低いタスクは他に任せましょう(例えば、忙しかった日の夕食はテークアウトで済ませるなど)。コツは”Should”と”Must”を見分けることです。つまり「しなければならない」タスクを実行し、「したほうがよい」タスクを排除するのです。

ほどほどに: 他人にも自身にも完璧を期待しないようにしましょう。

文責:APAアメリカ心理学協会、訳:表西 恵
表西 恵 Ph.D.(カウンセリング心理学博士;おもにしめぐみ) 

表西恵先生が本を出版しました。

アメリカよりも、家庭や職場で心の悩みやストレスに苦しんでいる人がたくさんおり、自殺者も多いとされる日本。そんな日本でなぜ「心の病」はタブー視されるのか? アメリカで患者の心理援助にあたる“サイコロジスト”が、

<1>日米の「心の病」への向き合い方の差異
<2>日本における社会偏見
<3>アメリカの革新的な心理アセスメント
<4>「心の病」のシグナルの見抜き方や、シグナルが出た時はどうするべきか?

……など、対処法から問題を未然に防ぐ実践法まで、幅広く綴ります。

さらには、うつ病、不安症、出社・登校拒否、対人恐怖症、PTSD、パニック障害、自殺願望、飛行機恐怖症、人間関係の悩み、子育ての悩み、自身の性格の悩みまで、心の悩みや心の病気に応じて、さまざまな科学的研究に基づいた治療法も提案します。

 

その他の出版物:

表西恵先生はこの中の『特集 I.各国の精神科医療事情: 米国の精神科医療事情-アメリカ社会におけるサイコロジスト』を担当、執筆しました。